時代は「作らないDX」へ一気に加速していく(2)

2024年11月20日
「作らないDX」の続編です。

企業が自社で一からシステムやアプリケーションを開発するのではなく、既存のクラウドサービスを活用して、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するアプローチを指します。従来の「作るDX」(自社開発)と対比される概念で、迅速かつ低コストでDXを進める方法として注目されています。

1年以上かけて作る大型のソフトウェアを自社開発したことがあるエンジニアや担当者なら、下のような共通した想いがあるでしょう。

・「1年以上前に設計されたシステムはリリースした時にはかなり古いものになっている。」
・「開発していくと当初は想定しなかった必要な機能が次から次へ出てくるが変更は無理。」
・「クライアントが気に入らないのは理解できるが、もう予算がないから何も追加はできない。」
どれも、冒頭の「作るDX」(自社開発)の難しさを表しています。

「作るDX」(自社開発)は、費用と時間がかかりかなり日進月歩で進化する現在のような環境で成功させるのは困難を極めます。

それに対して、「作らないDX」(クラウドサービスの利用)は身軽です。
わずかな月額費用で始められ、ダメなら撤退すればいいだけです。
使い出してからもいくらでも、新しいアイデアが出たタイミングで追加や修正が可能です。
大企業のシステムや、億単位の大きなプロジェクトは別として、中小企業は断然「作らないDX」を選択すべきでしょう。

「作らないDX」は、システムの設計や仕組みにエネルギーをかけなくて済む分、「そのシステムをどう使うか」という本質的な議論や構想づくりに時間とお金が割けます。
「作るDX」は、専門知識が必要なため専門家が密室で企画案を作らざるを得ませんが「作らないDX」は専門知識が要らないため全員参加でシステムを改良することができます。

従来型のシステム開発など「作るDX」は、コンピューター言語やサーバーなどの詳しい知識を持ったごく一部のエリートが作るシステムやルールに、多くの利用者が従う形になります。
一方「作らないDX」はプログラムを必要としない「ノンコード」なのでプログラムの詳しい知識がいらない分、多くの人が政策や改良に関わることができます。

私は「作らないDX」により、メンバーの創意工夫や、話し合うことで生まれる新しいアイデアを大切にしていただきたいと思います。

「作らないDX」とは、「人間以外の主人公を作らないDX」でもあるのです。

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