2025年1月29日
オードリー・タン(Audrey Tang)は、台湾のデジタル担当大臣を務めたことで知られる天才プログラマーであり、オープンガバメント(開かれた政府)やデジタル民主主義の推進者です。
彼の発言には、多くの示唆に富んだものがあります。
その中でも、私が好きなのがこの言葉です。
「最高のデザインは、人々を中心に考えられたものだ。」
1. 「人々を中心に考える」とは?
デザインには様々な形があります。
オードリー・タンの言う「最高のデザイン」は、技術やビジネスの都合ではなく、人々のニーズを出発点にするという考え方に基づいています。
例えば、あるソフトウェアが「最新の技術を使っている」だけでは、良いデザインとは言えません。
そのソフトウェアが「ユーザーにとって使いやすい」「問題を解決してくれる」「快適に使える」ことこそが、最高のデザインの条件になります。
2. 「人々を中心に考えたデザイン」の具体例
オードリー・タンの政策やプロジェクトは、この哲学を体現したものが多くあります。
① 台湾のマスクマップ
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、台湾ではマスクの供給が課題となりました。そこで、オードリー・タンは市民がどこでマスクを購入できるかをリアルタイムで確認できる「マスクマップ」を開発。政府のデータをAPI化し、民間エンジニアと協力して、誰もが使いやすいシステムを作り上げました。政府の都合ではなく、市民の利便性を最優先にしたデザインの好例と言われています。
台湾のマスクマップ
出典:台湾中央伝染病対策センターWEBページ
② vTaiwan(市民参加型政策形成プラットフォーム)
台湾では、政策決定のプロセスに市民の声を取り入れるため、オードリー・タンが中心となって「vTaiwan」というオンラインプラットフォームを開発しました。これは、テクノロジーを活用して、多くの人の意見を集約し、より民主的な意思決定を実現するものです。政府の一方的な決定ではなく、市民の声をもとに設計されたデザインです。
私たちは社会としてどこへ向かうのでしょうか?
出典:https://info.vtaiwan.tw
先日紹介した安野たかひろ氏の「デジタル民主主義2030」もオードリー・タンのこのような考え方を取り入れています。
3.オフィス・工場における「ひと中心のDX」の展開
政治だけでなく、私はこのような考え方が、オフィスや工場でもとても大切な視点と考えています。
- 技術や企業の都合ではなく、人々の課題を出発点にする
- フィードバックを受け入れ、試行錯誤しながら改善を続ける
- より多くの人が使いやすく、役立つデザインを目指す
この考え方を取り入れることで、業務効率化で働きがいを作り出し、結果として会社の価値を高めることができると私は考えます。