日本はIT技術で「ジャパン・アズ・オンリーワン」の存在へ
〜2020.12.29 おっさんずITメルマガ「IT敗戦国日本の未来」より〜
エズラ・ヴォーゲル氏の死から思うこと
さて、先日12月21日、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の著者エズラ・ヴォーゲル氏が亡くなられました。
私が大学を卒業し、証券会社に入社した1988年当時、日本はバブル真っ盛り。
当時「ジャパン・アズ・ナンバーワン」は日本の繁栄の根拠のような著書でしたので、感慨深い思いです。
「IT敗戦国:日本」
バブルが崩壊し、日本が国際競争力を失う中でも、日本にはどこか「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という思いが残っていました。
それが完全に吹き飛ばされたのがコロナ禍の2020年だったように思います。
台湾はITの力で数週間でマスク不足を完全に解消し、ドイツでは国民のデータベースを活用し、6兆円の個人給付金を決定後わずか2日で全国民の口座に振り込みました。
2枚のマスクを配るのに260億円以上の費用と半年間という時間をかけざるをえない日本。
海外では所得に応じてきめ細かく低所得者に手厚い給付金を出しているのに、所得に関係なく10万円の一律給付しかできない日本。
2020年は、そんな「IT敗戦国:日本」の現状を見せつけられました。
ITが進まない日本の民間企業
民間企業も同じです。
世界のどこにも見られなくなった非効率なFAXで受注を取り、紙の伝票に書き写し、パソコンに入力する膨大な時間とお金の無駄に何の疑問も感じない民間企業。
20年以上前から同じ「ソフト」を使い続け、5年ごとに訪れる「謎のシステム更新」に盲目的に何百万、何千万と支払っている民間企業。
さらに、「クラウドは危険」という事実に基づかない信仰にも似た考え方の経営者や役員が会社のIT化を阻み、「今までと同じ業務以外はしたくない」という現場社員の抵抗に負けてIT化を簡単に断念してしまう民間企業。
あろうことか、数千万する「キカイ」には借金してまで投資するのに、月額千円にも満たないサブスクリプションの支払いを拒み続けいる民間企業。
政府のことを笑えません!(笑)
過去の栄光の残像を捨てきれずに変わりたくない経営者と勉強不足を経営責任にすり替え文句ばかり言っている変わりたくない社員の利害が完全に一致し、民間企業のIT化は一向に進展していないのが現状です。
コロナ融資で3年間無利子、返済猶予の資金を何千万円、何億と蓄えた企業もこのままでは3年後の膨大な返済額の前に立ちすくむことになるでしょう。
「2021年版産業の米」は何?
1980年代、設備投資の資金不足に悩む半導体製造会社に対して、野村證券は「半導体は産業の米」という有名なキャッチフレーズを作って投資資金を提供しました。
2020年代の「産業の米」は「データ」であり「IT」だと私は思います。
1980年代、景気対策といえば「公共投資」だったものが、近年、国の景気対策も「デジタル化」に移行しています。
グーグルは、過去の社員データから、簡単なアンケートで求職者が将来どれだけ会社に貢献するか、なん年後にどのようになっているかAIでシミュレーションできるそうです。
中国の銀行は、経営者の行動から、与信枠をAIで算出し、貸し倒れを限りなくゼロに近づけているそうです。
第3次補正予算で見えた2021年の補助金の傾向
実務家である菅首相はそういった日本と世界の現状を正確に把握していると思います。
今回の補正予算では、菅首相のブレーンであるデービッド・アトキンソンさんの主張が色濃く反映するものとなりました。
デービッド・アトキンソンさんは、下記のような主張をしています。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
「デービッド・アトキンソン氏は、企業の生産性向上が絶対に必要であると繰り返し主張している。特に技術革新や海外展開に対応できる人材が乏しく、最新設備の導入にも限界がある、日本に過剰な数がある中小企業が生産性低下の大きな要因だとし、そのために最低賃金を引き上げて経営力と競争力がない中小企業を淘汰・統合するなどの政策を行うべきであると提言している」 簡単にまとめると、企業の生産性を上げて、企業の規模を大きくして、非効率な零細企業を整理統合するという主張です。
(野党は「中小企業の切り捨てだ!」と批判しますが、弱者保護の美名のもと、IT化の遅れを助長した野党に文句を言う権利はないでしょう。)
12月に誕生した「事業再構築補助金」はまさにこの主張を具体化した政策だと私は思っています。
中小企業が統廃合しやすく、伸びようとする企業には事業計画に応じて最大1億円の補助金を出すと言っています。
「事業再構築補助金」を取得しない企業もこの国の方針転換は知っておく必要があるでしょう。
日本は再び「ジャパン・アズ・オンリーワン」へ!
みなさんの会社は効率を上げて会社の規模を拡大するか、静かに退場するか2社択一を迫られているといっても過言ではありません。
裏を返せば、事業意欲のある経営者にはビッグチャンスであると言うことです。
やる気のあるみなさんのような経営者は絶対伸びると思います。
そして、「敗戦」を知った日本は、必ずデジタル改革を成し遂げ、世界で飛躍するようになるでしょう!(マジです。)
だって、敗戦で何もない日本を、勤勉さとユニークな発想で世界に君臨する巨大経済大国にした国民ですから。
皆様の企業が「IT補助金」「事業再構築補助金」などもめいっぱい活用し、生産性向上と規模の拡大が実現し、力のある中小企業が続々出てきて、再び「ジャパン・アズ・ナンバーワン」いや「ジャパン・アズ・オンリーワン」となった日本を夢見て活動をしていきたいと思います。
株式会社ニューフォース
代表取締役 尾上昌人